クランクイン!トレンド
  •  全国公開中の映画『秒速5センチメートル』が、多くの人たちの心に刺さっている印象だ。同作はそもそも、2007年公開のアニメーション映画が始まりで、そちらにもファンが多く、筆者自身、アニメーション版のファンだったため、主演・松村北斗、監督・奥山由之、原作・新海誠という間違いのない布陣で公開されるのは情報解禁された当時から非常にうれしく思えた。しかし、その一方、アニメーション映画である一種の“正解”を叩き出しているがゆえ「原作ファンを満足させられるのか」と一抹の不安があったのも事実。結果的に、その不安は杞憂であったのだが、具体的に何がよかったのかを改めて紐解いていきたい。(文=於ありさ) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください。
    ■誰もが“知っている”物語の魔力
     本作は、1991年の春、東京の小学校で出会った遠野貴樹と篠原明里の物語。転勤続きだった2人は孤独を埋めるかのように、お互いの存在を支えとして生きていき、この関係はきっと永遠に続くものと信じて止まなかった。
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